タイトル:「自宅兼事務所、在宅勤務の必要経費は?」

新型コロナウイルス感染症拡大を機に在宅勤務に切り替えた方も多いと思います。

その場合、電気代は?通信費は??必要経費になるのでしょうか。

 

適用の可否は“合理的”であるかどうか

個人事業主が在宅勤務で負担するインターネット通信費や電気料金等は、合理的に算出された“業務使用部分”であれば必要経費に算入できますが、

これまで“業務使用部分”を求めるための計算式は通達等で示されておらず、算出に苦悩した者も少なくないでしょう。

この点、その個人事業主の個別事情に応じて合理的な算出方法といえるのであれば、給与所得者の在宅勤務費用の取扱いについて示された

「簡便的な計算方法」(国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」を用いて算出してよいということです。

 

在宅勤務FAQは給与所得者向けで簡便的な計算方法等を明示

個人事業主が負担する在宅勤務費用は、家事上と業務上の両方に関わる費用(家事関連費)である以上、すべてを必要経費とすることはできず、

取引の記録等に基づいて業務の遂行上必要であったことが明らかに区分可能な部分(業務使用部分)を必要経費に算入できます( 所法45 ①一, 所令96 )。

業務使用部分を合理的に求めるには業務・経費の内容、資産の利用状況等を総合勘案して判定するとの記述に留まり、具体的な計算例は示されていません( 所基通45-1 )。

国税庁の在宅勤務FAQにあるとおり「簡便的な計算方法」とは、在宅勤務により従業員が負担するインターネット通信費や電気料金等を企業が精算する場合に、

給与として課税する必要のない業務使用部分を求める際に用いることができるもの。費用の種類に応じて、在宅勤務日数やテレワークで使用する部屋の床面積で

按分した1か月あたりの費用に2分の1を乗じて求めます(同在宅勤務FAQ問6,8,【参考】)。

 

事務所勤務からの切換えはOK

業務使用部分を「簡便的な計算方法」で求めるには、その個人事業主にとって“合理的”な計算方法であると言えることが必要となります。

「簡便的な計算方法」は、先述のとおり給与所得者の在宅勤務費用を念頭に示されたものであるから、オフィス等で勤務する給与所得者と

同等の勤務スタイルの個人事業主であれば“合理的”と言えるということです。例えば、フリーランスとして特定の事務所で勤務していた

イラストレーターが、新型コロナウイルス感染症拡大を機に在宅勤務に切り替えた場合などが挙げられます。

一方従来より、自宅の一部を事務所として使用している者もいるでしょう。この場合であっても、従来用いていた計算方法に代わり

「簡便的な計算方法」で業務使用部分を求めることが直ちに否定されるわけではなく、その個人事業主の業務内容等から在宅勤務日数や

業務使用部屋の床面積で按分することが“合理的”であると言えればよいとのことです。

なお、個人事業主が「簡便的な計算方法」でその年分の必要経費を求める場合は、月ごとの額の算出後に12か月分を合計して計算、又は1年あたりの費用と

在宅勤務日数に基づき計算すればよいとのこと。

 

編集者:ノノセ

(引用元:「週間税務通信 令和3年11月22日号」p4

 

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