タイトル:「電子取引と見積書」

メール等の電子取引で授受した請求書等の電子データについて、現在は宥恕措置により、出力書面での保存も認められます。

令和6年から要件に従い電子データでの保存が必要となるところ、その保存対象の範囲を気にする声があります。

特に見積書は、取引成立に至るまで複数社と何度も授受されることがありますが、

いずれも正式な「見積書」の電子データであれば、その全てが保存対象となります。

 

電子取引の保存対象となる「取引情報」には、取引に関して受領、交付する契約書、見積書等に記載される事項が当たります(電帳法2五、7)。

電子取引にはメール以外に、例えばEDI取引がありますが、EDIのデータ項目の訂正加除の情報を個々に保存する必要はなく、

最終的な確定データのみ保存すればいいのです(電帳通7-1(2))。この保存が不要な訂正加除の情報とは、確定データに至る前の情報をいいます。

例えば、一度確定した見積書の金額を変更し、新たな金額を記載した見積書が授受された場合、いずれも確定した見積書であるため、

両方とも保存対象の「見積書」の電子データとして保存が必要となります(電帳通7-1解説(2))。

 

複数社に見積もりを依頼する“相見積もり”も同様です。取引が成立した1社だけでなく、複数社から確定した内容の「見積書」を授受した場合、

取引に至らなかった会社の見積書を含め、全て保存対象の「見積書」の電子データとして保存が必要となります( №3674 )。

見積書の受領側だけでなく、交付側も保存が必要です。

 

一方、確定した内容の「見積書」でなければ、保存対象になりません。例えば、「後日、正式な見積書のデータを送りますが、

目安として暫定的な見積もり金額等を送ります」といったような場合、内容が確定した「見積書」ではないため、保存は不要です。

編集者:ノノセ

(引用元:「週間税務通信 令和4年8月22日号」p28

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