タイトル:「持続化給付金 不正受給対応専門チームを設置」

中企庁が7月から調査・自主返還なら罰則なし

持続化給付金の不正受給が大きな問題となっている。同給付金の申請受付がスタートした当初は、税務の専門家である税理士に、不正受給に関する相談が持ち掛けられるケースも相当数あったという。 中小企業庁では、本年6月に持続化給付金の不正受給対応の専門チームを発足し、7月から本格的に調査を行っている。同給付金の不正受給による逮捕者が増加していることを受けて、自主返還を行う者も多くなっており、本年11月5日現在、同給付金の返還件数は752件、返還金額は7億9,400万円、返還申出件数(返還完了分を除く)は7,355件にのぼるという。

持続化給付金のコールセンターには多くの情報提供が

持続化給付金は、“新型コロナウイルス感染症拡大の影響等”により、売上が大幅に減少等した中小企業や個人事業者が給付対象となる。
申請時には、確定申告書や売上台帳等を提出する必要があるところ、これら申請書類を端緒に不正受給が発覚するケースも少なくないという。ただし、最も多いのは、いわゆる“タレコミ”が端緒になるケースだ。持続化給付金事業コールセンター等には、不正受給を行っていると疑われる者に関する通報・情報提供が多く寄せられているという。
ここでいう「不正受給」とは、中小企業庁が調査を行い、内部で不正受給認定を行った場合を指す。持続化給付金を受給したものの、自主的に返還したのであれば、不正受給には該当しないとのこと。
そのため、不正受給者については罰則として、氏名等の公表や「持続化給付金(受給額)と延滞金の合計額にその2割相当額を加えた金額」の支払義務が生じるものの、自主返還した者については,これら2割加算等の罰則は課せられないとのことだ。

●不正受給・自主返還の場合の返還額

 返還額
不正受給持続化給付金+延滞金※+{(持続化給付金+延滞金※)×0.2 }
自主返還持続化給付金

※延滞金…不正受給日の翌日から返還日まで年3%の割合で算定
 
新型コロナによる売上減少でなければ調査で指摘も

持続化給付金の不正受給について、中小企業庁は本年6月に不正受給対応の専門チームを発足させ、7月から本格的に調査を行っている。同チームの具体的な人数等は明らかにされていないが、現在も粛々と調査を行っているとのことである。
また、「持続化給付金給付規程」の解釈では同チームに限らず、外部に調査を委託することも可能であるという。今後も関係省庁等と情報共有を行い、調査に注力するとのことだ。
この点、実務家の間で疑問に挙がっているのが、同給付金の受給要件の一つである“新型コロナの影響で売上が減少していること”について、中小企業庁がどこまで詳細に審査・調査しているのかということである。 受給要件の一つであるため、本来、審査の段階で確認が行われるべきだが、中小企業庁によれば基本的に審査の段階で、新型コロナの影響で売上が減少したか否かの確認は行われていないとのこと。ただし、受給要件の一つである以上、同給付金の支給後に疑義が生じた場合には調査を行っており、罰則の対象になる可能性もあるという。

持続化給付金は課税対象

持続化給付金の課税関係については、国税庁が公表する『国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ』で明らかにされている。
持続化給付金は課税対象であるため、同給付金を受けた個人は令和2年分の確定申告で、総収入金額に含めて申告することが基本となる。申告義務があるにもかかわらず、無申告となっている場合には国税当局からの指摘が想定される。

●持続化給付金の所得区分

 所得区分
事業所得者事業所
給与所得者一時所得
雑所得者雑所得
 
 

編集者:ノノセ
(引用元:「週間税務通信 令和2年11月16日号」 p6)

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